いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻15

崔相国に奉る上崔相國

東国李相国集(東国の李相国の文集) 東國李相國集 · 李奎報(イ・ギュボ) · 1241年(高麗・高宗28年)編 · 1251年に改め補う · 段落 2 · 漢字 262字 · 朗読 2.6分

東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻15 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。

1序

某本乏吏能。出爲郡守。政猶未滿。汲汲然求見代者。似爲大早。然僕居省五年。忽因非罪。被有司所彈。賴閣下盡力營救。然後不落散地。受此方州之任矣。幸今閣下當國。凡內外官寮之名不廉者。旣盡懲之矣。夫淸者濁之對。激其濁則必有揚淸之議。如吾礪節奉公者。雖未蒙大賞。亦何必三年而後見代耶。伏惟諒之。

わたくしはもともと吏としての才に乏しいのに、外に出て郡守となりました。治めてまだ任期も満ちないうちに、しきりに交代を願うのは、いかにも早すぎるように見えましょう。しかしわたくしは省に五年おりましたが、突然、罪でもないことで有司の弾劾を受けました。閣下が力を尽くして救ってくださったおかげで、閑職に落ちることなく、この地方の州の任を受けたのです。さいわい今、閣下が国政をお執りになり、内外の官僚のうち清廉でないと評判の立った者は、すでにことごとく懲らしめられました。そもそも清は濁の対です。その濁を激しく動かせば、必ず清を揚げようという議論が起こりましょう。わたくしのように節を研ぎ、公務に尽くす者が、大きな賞にあずかれないにしても、どうして必ず三年を満たしてから交代しなければならないのでしょうか。伏してお察しくださいますよう。

夾注 1

幷序○晉康公嗣也。

序を併せる。○晋康公の嗣子である。

早沐深恩入鳳池。忽因橫議落江陲。謫因非罪公曾識。力欲扶顚世亦知。蓬艾蒙籠同鹿處。園墻踈漏任狼窺。訟庭愁見飢民色。公席慵看黠吏姿。邑俸近從删省少。田租未免負駄移。尙難周補經年粒。况可能營禦臘絲。舊踏藥階天忽遠。與遊䔵友驥難追。苦遭簿領長纏縛。無奈詩情大減衰。參秩五年仍六品。殘鄕一日敵三期。鈞軒若採氷淸節。瓜代何須要及期。

早くに深い恩に浴して鳳池に入り にわかに横議のために江のほとりへ落ちた 流されたのが罪によるのでないことを公は早くからご存じで 倒れる者を支えようと力を尽くされたことは世も知っている 蓬や艾が生い茂り、鹿とともに住み 園の垣は粗く穴だらけで、狼がのぞくのに任せている 訴えの庭では飢えた民の顔色を見るのが悲しく 公の席では悪賢い吏の姿を見るのも物憂い 邑の俸禄は近ごろ削られて少なくなり 田の租は背に負って運ぶことを免れない 年を越すだけの米を行き渡らせることさえ難しいのに まして臘月の寒さを防ぐ糸を用意できようか かつて踏んだ薬の階は天のように遠く ともに遊んだ芳しい友は駿馬のようで追いつきがたい 苦しくも帳簿と書類に長く縛られ 詩情が大いに衰えてゆくのをどうしようもない 班に列して五年、なお六品のまま 荒れた田舎では一日が三年に匹敵する 相公がもし氷のように清い節を採ってくださるなら 交代はどうして任期の満ちるのを待つ必要がありましょう

夾注 1

明年以起居注見召。

翌年、起居注として召された。