大蔵経および消災道場の音讃詩 — 勅に応じて作る。消災道場、前と同じ詩大藏經及消災道場音讚詩。應制。 消災道場同前詩
1第一首
乾象頻愆帝慮兢。香泥塗地演眞乘。神通杵下靈風襲。敎令輪中怒電騰。若借光明尋放焰。有何災沴不消氷。六天鑒照無羅隔。四海悎安似鏡澄。
天の象がしばしば愆って、帝の慮いは兢れ 香の泥を地に塗って、真の乗を演べられる 神通の杵の下には、霊しい風が襲い 教令の輪の中には、怒る電が騰る もし光明を借りて、たちまち焰を放つなら どのような災いや沴れが、氷のように消えないことがあろう 六つの天が鑑み照らして、羅で隔てるものがなく 四つの海が安らかで、鏡のように澄んでいる
2第二首
虜吻流涎已足懲。乾文見謫又何徵。天心似水雖難測。佛力如山信可憑。神呪光明增熾盛。胡兵氣勢旋摧崩。太平自古先多難。感變吾君道復興。
虜の吻から涎が流れるだけでも、すでに懲らすに足るのに 天の文に謫めが見えるのは、また何の徴なのか 天の心は水のようで測りがたいけれど 仏の力は山のようで、まことに憑るに足る 神しい呪の光明がいよいよ熾んに盛んになれば 胡の兵の気勢は、たちまち摧け崩れるだろう 太平は古来、まず難きことが多かったのだから 変事に感じられて、わが君の道はふたたび興るだろう
3第三首
謫見珠躔喻象頻。憂形玉色礪精新。梵筵未放拈香手。御眼親瞻遶火身。鐵捧金拳揮似電。氈裘鐻耳碎爲塵。楡關按堵連千里。松麓深根跨萬春。
珠の躔に謫めが見えて、象をしばしば喩すので 憂いが玉のかんばせに形れ、精神を新たに礪がれる 梵の筵では、香を拈る手を放されず 御の眼で、みずから火を遶る身を瞻られる 鉄の棒と金の拳を揮うことは電のようで 氈の裘と鐻の耳をした者どもは、碎けて塵となるだろう 楡関は堵を按じて千里に連なり 松の麓は根を深くして万の春に跨るだろう
4第四首
爲壓星祅便却戎。梵筵移自淨居宮。香泥結界熏儀盛。蒼海凌波怒像雄。釋虎咆咻聲正厲。胡雛瑟縮氣先窮。欲知頃刻災消去。烈火光中片雪融。
星の祅を圧して、ただちに戎を却けようと 梵の筵を浄居の宮から移して来た 香の泥で界を結び、熏の儀は盛んで 蒼い海の波を凌ぐ怒りの像は雄々しい 釈の虎が咆え咻けば、声はまことに厲しく 胡の雛は瑟み縮んで、気が先に窮まる わずかの間に災いが消え去ることを知りたいか 烈しい火の光の中で、片の雪が融けるのと同じだ
5第五首
沙羅密藏足威光。一粒靈丹勝萬兵。火焰像前宣梵呪。金剛拳下眼魔精。高山共峙熏功就。朗月同懸慧鑑明。彈指未終災旋散。羶戎掃地立澄淸。
沙羅の密かな蔵は、威の光が足りていて 一粒の霊しい丹は、万の兵にも勝る 火の焰のような像の前で、梵の呪を宣べ 金剛の拳の下で、魔の精を眼る 高い山とともに峙てば、熏の功が就り 朗らかな月とともに懸かれば、慧の鑑が明るい 指を弾き終わらぬうちに、災いはたちまち散り 羶れた戎を地を掃うように除いて、澄み清んだ世が立つだろう