いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻20

鼠を呪う文呪鼠文

東国李相国集(東国の李相国の文集) 東國李相國集 · 李奎報(イ・ギュボ) · 1241年(高麗・高宗28年)編 · 1251年に改め補う · 段落 2 · 漢字 299字 · 朗読 3.2分

東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻20 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。

1序

予家素不蓄貓。故群鼠橫恣。於是疾而呪之。

わたしの家ではもともと猫を飼わなかった。それで鼠の群れが勝手に暴れた。そこで憎んで呪う。

夾注 1

幷序

序をあわせる。

惟人之宅。翁媼作尊。挾而輔之。各有司存。司烹飪者赤脚。司廝牧者崑崙。下至六畜。職各區分。馬司代勞。載驅載馳。牛司引重。或耕于菑。鷄以鳴司晨。犬以吠司門。咸以所職。惟主家是裨。問之衆鼠。爾有何司。孰以汝爲畜。從何產而滋。穿窬盜竊。獨爾攸知。凡曰寇盜。自外來思。汝何處于內。反害主家爲。多作戶竇。側入旁出。伺暗狂蹂。終夜窣窣。寢益橫恣。公行白日。自房歸廚。自堂徂室。凡獻佛之具。與事神之物。汝轍先嘗。蔑神無佛。以能穴堅。善入函櫝。以常穿突。煙生隈曲。飮食之是盜。汝亦營口腹。何故噬衣裳。片段不成服。何故齕絲頭。使不就羅縠。制爾者貓。我豈不畜。性本于慈。不忍加毒。略不德我。奔突抵觸。喩爾懲且悔。疾走避我屋。不然放獰貓。一日屠爾族。貓吻塗爾膏。貓腹葬爾肉。雖欲復活。命不可贖。速去速去。急急如律令。

およそ人の家では、年老いた主人夫婦が尊い者となり、支え助けるのにそれぞれ受け持ちがある。煮炊きを受け持つのは女の召使いで、薪や家畜を受け持つのは男の召使いだ。下は六つの家畜に至るまで、職分がそれぞれ分かれている。馬は力仕事を代わることを受け持ち、駆けもし走りもする。牛は重いものを引くことを受け持ち、荒れ地を耕すこともある。鶏は鳴いて夜明けを受け持ち、犬は吠えて門を受け持つ。みな受け持ったことで、ただ主人の家を助ける。

問おう、お前たち鼠よ、お前たちに何の受け持ちがあるのか。誰がお前たちを家畜にしたのか、どこから生まれて増えたのか。穿ち越えて盗むことだけが、ひとりお前たちの知るところだ。およそ盗賊というものは外から来るものなのに、お前たちはどうして内に住みながら、かえって主人の家を害するのか。戸や穴を多く開けて横から入り傍らから出て、暗がりを窺って狂ったように踏みつけ、夜通しがさがさと音を立てる。次第にいっそう勝手に暴れて、白昼にも堂々と歩き、部屋から台所へ行き、堂から室へ行く。およそ仏に供えるものと神を祀る物をお前たちが先に味わうのだから、神を侮り仏を無視するものだ。

堅いものを穿てるので箱や櫃によく入り、いつも穿ち突くので、曲がった隅に煙が立つ。食べ物を盗むのはお前たちも口と腹を養うことだと言えるが、どういうわけで衣を噛み破って切れ切れにし、衣にならなくさせ、どういうわけで糸の端を齧って絹にならなくさせるのか。お前たちを抑えるのは猫なのに、わたしがどうして飼えないことがあろうか。性がもともと慈しみ深く、むごくすることに忍びなかったのだ。それなのに少しもわたしを有難いと思わず、走り回り突き当たる。お前たちに言って懲らしめ悔いさせるから、早く走ってわたしの家を避けよ。そうでなければ荒い猫を放って、一日でお前たちの族を屠ろう。猫の口にお前たちの脂が塗られ、猫の腹にお前たちの肉が葬られよう。重ねて生き返りたいと思っても、命を贖うことはできまい。早く去れ、早く去れ、律令のように急ぎ行え。