河西の元帥に答える文答河西元帥書
右啓。今月某日。貴國使介至。奉傳珍緘。備認鈞候起居萬福。兼蒙問訊滋悉。欣感交深。不可勝道。前發遣押船兵使人廻來。稱何每幸値大官人閣下管領。故凡所違失。無不曲加救護。遂使畢事無恙。至於還國矣。聞之深感深感。噫。非仁人君子之恤隣扶弱特地有營救之意。則疇及是哉。又所諭蒙古大官人文字內。高麗攻取海島船隻軍兵。無國王分付官軍名職數目。則其所送人物。乃於沿塞州城。方選揀訖。而時已迫急。無暇告覆朝廷。遂發去。以是不得覼縷名目。其界兵馬。亦以貴國親來押去。故不須具悉名職數目。此皆因時商酌所致然耳。伏惟明鑑照悉。善爲辭焉。夏熱。惟冀順時自愛。益復救護小國。實愚之望也。云云。
申し上げます。今月の某日に貴国の使者が至って、貴いお手紙を奉じて伝えました。ご尊体が万福であることを備えて知り、あわせて見舞ってくださって、いよいよ詳しく知ることになりましたから、喜びと有り難さが深くて言い尽くせません。
さきに船を率いて行った兵と人が帰って、「そのたびに幸いに大官人閣下が率いてくださった徳で、食い違った事ごとに見下ろして救ってくださらないことがなく、ついに事を終えて障りなく国に帰った」と言いました。聞いて深く感激しました。ああ、賢い君子が隣を顧み弱い者を支え、特に救おうとされる心でなかったら、誰がここに及びましょうか。
また言われた、蒙古の大官人の文に、高麗が島を討つために送った船と兵に、国王が言いつけた官軍の名と職と数がないとありました。送った人々は辺りの郡の城で選び抜いたのですが、時がもう急で、朝廷に知らせるいとまもなくすぐ発たせました。だから名と条目を詳しく記せませんでした。その境の兵馬も、貴国がみずから来て率いて行かれたので、名と職と数を備えるものがありませんでした。これはみな時に応じて量ってそうなったことです。謹んで明らかに汲まれて、良く言ってくださるよう願います。
夏が暑いのです。ただ時に合わせてお身を大切にされ、小さな国をいよいよ救ってくださるよう願いますが、まことに愚かな私の願いです。云々。
夾注 1
壬辰五月
壬辰の年五月である。