いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻38

浮石寺の丈六の仏の前に祈る文浮石寺丈六前願文

東国李相国集(東国の李相国の文集) 東國李相國集 · 李奎報(イ・ギュボ) · 1241年(高麗・高宗28年)編 · 1251年に改め補う · 段落 1 · 漢字 157字 · 朗読 1.7分

東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻38 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。

云云。今者東京逆類。猖狂跋扈。結根寢固。日益滋蔓。國家尙不忍加誅。再降温言。喻以禍福。猶頑然罔有悛心。益肆呑噬。致有今日問罪之師。是自招也。又誰咎哉。然我君之本意。不欲多傷人物。苟其民悔過請罪。咸與惟新。則皆赦勿誅。使復齒平民。其好生惡殺如此。若賴佛力神通之助。兵不血刃。受降獻捷。奏凱班師。則非唯我君之意。亦如來愛衆生之本願也。今遣某官獻淨衣一領。用表微誠耳。伏惟云云。

云々。いま東京の逆らう輩が猖え狂って跋扈し、根を張ってしだいに固まり、日ごとにいよいよ蔓延っています。国家はなお誅するに忍びず、二度まで温かな言葉を下して禍と福で諭しましたが、それでも頑なで悛める心がなく、ますますほしいままに呑み噬みます。そうして今日、罪を問う師があるに至ったのですから、これは自ら招いたことで、また誰を咎めましょう。

けれども我が君の本意は、人も物も多く損なおうというのではありません。まことにその民が過ちを悔いて罪を乞うなら、みなともに新たにさせ、すべて赦して誅さず、ふたたび平民の列に加えようとされています。その生を好み殺を悪まれることはこのようです。

もし仏の力と神通の助けを得て、兵が刃に血を塗らずに降りを受け、勝ちを献じ、凱歌を奏して師を還すことができるなら、それは我が君の意であるばかりでなく、如来が衆生を愛される本願でもあります。

いま某官某を遣わして浄らかな衣一領を献じ、わずかな誠を表すばかりです。伏して思いますに云々。

夾注 2

浸固 — 底本は結根寢固であるが、寢は浸(しだいに)の誤りと見る。― 訳者

東京 — 高麗の東京、今の慶州である。― 訳者