前と同じく願を立てて禅を説いてくださるよう請う文同前願請說禪文
明鏡誠懸。應形皆現。洪鐘虛受。有扣斯鳴。敢奉忱詞。覬垂曠聽。切以迦葉微笑。傳密印於靈山。達磨默求。耀祖燈於震旦。或正脉之相續。或橫枝之旁分。其爲旨也。不立文字而直趣眞源。其爲宗也。不踐階梯而徑登覺地。得之在我。悟不由他。苟除一念之妄緣。卽見自家之本分。比如雲糊天而月暗。雲去則月明。風動水而波生。風息而波靜。然不有指南之達識。曷易窮向上之玄宗。恭惟某禪師丈下。當來金色。如來現世。肉身菩薩。眞心虛靜。元無一物之礙膺。道貌孤高。不待五峯之秀骨。允合人天之傾慕。豈惟徒衆之參承。遊方無去住之機。浮雲其迹也。傳法任淺深之器。甘露以充之。伏念某端遇昌期。早叨華秩。顧此丘山之荷。一日難忘。作何塵露之緣。萬分有補。惟此頓門之藏。實爲正法之原。由是有奉崇之心。慨然懷興復之志。凡營佛事。必演禪論。敢特峙於猊床。請暫揮於犀柄。伏望俯循哀懇。一振微音。俾虜群而遁逃。措國步於帖泰。實弟子之願也。
明るい鏡がまことに掛けられれば、形に従ってみな現れ、大きな鐘が中を空けて受けるなら、叩くときに鳴ります。あえて誠のお言葉を奉って差し上げますので、寛くお聞き入れくださることを願います。
切に思いますに、迦葉が微笑んで霊山で秘めた印可を伝え、達磨が黙して求めて震旦で祖師の灯を輝かせました。あるいは正しい脈が互いに続き、あるいは横に伸びた枝が傍らに分かれました。その意でいえば、文字を立てずにまっすぐ真の源に向かい、その宗旨でいえば、梯子を踏まずにそのまま悟りの地に登ります。得ることは我にあり、悟りは他によりません。まことに一念の妄りな縁さえ除けば、すぐに自分の家の本分を見ます。たとえば雲が天を覆って月が暗く、雲が退けば月が明るく、風が水を動かして波が立ち、風が止めば波が静かになるのと同じです。しかし道案内となる通達した見識がなければ、どうして易々と上に向かう玄い宗旨を究められましょう。
恭しく思いますに、某禅師の御前は、来られる金色の如来、この世にお生まれになった肉身の菩薩であられます。真の心が虚ろで静かで、もとより一つの物も胸に障りがなく、道の姿が孤り高くて、五つの峰の秀でた骨相を待ちません。まことに人と天が傾け慕うにふさわしいので、どうして弟子たちだけがお目にかかりに来るでしょう。四方を巡られても去ることとどまることに囚われがなく、浮かぶ雲のような跡であり、法を伝えられても浅い深いの器に任せて、甘い露で満たしてくださいます。
伏して思えば、某はちょうど栄える時に遭って、早くから華やかな官を分不相応にも受けました。顧みればこの山のような恩を一日も忘れがたいので、どんな塵と露のような縁を作れば、万分の一でも助けになりましょう。ただこの頓に入る門の蔵が、まことに正しい法の源です。これによって奉り高める心があって、慨然と再び興す志を抱きました。およそ仏事を設けるたびに、必ず禅の論を広げます。あえて獅子の座を特に設けて、しばらく犀の角の柄の払子を揮ってくださることを請います。
伏してお願いします。焦がれる願いを伏して聞き入れてくださり、一度微妙な声を振るわれて、虜の群れを逃げ去らせ、国の歩みを安らかなところに置いてください。まことに弟子の願いです。
夾注 1
當來金色如來 現世肉身菩薩 — 底本の句読は四字ずつ切っていたが、當來↔現世・金色如來↔肉身菩薩の六字の対句として読んだ。― 訳者