李侍郎がまた前の韻で黄・紅・青の三色を詠んで送ってきた。いずれも旁韻を押している — 紅を詠む次韻李侍郞又以前韻詠黃紅靑三色見寄。皆押旁韻。 詠紅
螢炤夜披經。蠟明晨欝瓚。着袍君德形。湛秫官功滿。纔賞蓼花汀。旋歸楓樹岸。燃櫻艶不零。笑杏開初亂。炳著南宮星。煽成西邑漢。羅帷錦繡屛。霞液玻瓈盌。醉頰入難醒。慚腮生未晚。香袾戱內庭。步障連脩板。灰死豈終停。燎焚當者罕。燒丹竈孰銘。結綺閣宜翫。日翥渴鳥翎。火掀炎雀翰。研砂主點刑。衣赭人搜閈。彩蜃遠浮溟。矞雲飛繞觀。翹冠鳳德靈。戴幘雞文爛。蝕刃土流硎。餙毫紗映管。鳴熺鳥可聽。尾熱牛難慣。燒舌忌千甁。粧顔居列館。爲章必俟靑。爾勿獨誇煥。
螢の光に照らして夜に経を開き 蠟燭を明るくして明け方に欝金の酒の杯を奉る 紅の袍をつければ君の徳が現れ 赤い秫を漬ければ官の功が満ちる わずかに蓼の花咲く汀を賞しては すぐに楓の木の岸へ帰る 燃えるような桜桃の花は艶やかで散らず 笑う杏の花は咲きはじめて乱れる あざやかに南宮の星に着き 煽られて西の邑の漢をなした 羅の帷に錦の繡の屛風 霞のような酒に玻瓈の椀 酔った頬は赤みが入って醒めがたく 恥じる頬は遅れずに色づく 香る紅の衣で内庭に戯れ 步障は長い板のように連なる 灰が死んだとて、どうして終に止もう 燃えさかる火に当たりうる者はまれだ 丹を焼く竈を誰が銘に刻んだか 結綺閣は賞翫するに足る 日に翔けるのは赤い烏の羽 火が揺らげば炎の雀の翼 砂を研いで刑の点を主り 赭い衣の人を里に搜す 彩なす蜃気楼は遠く海に浮かび 矞の雲は飛んで道観を囲む 冠を翹げた鳳は徳が霊妙で 幘を戴いた鶏は文が燦やかだ 蝕んだ刃には土が砥石に流れ 飾った毫には紅の紗が管に映る 火に鳴く鳥の声は聴くに足り 尾が熱くては牛も慣れがたい 舌を焼くものは千の瓶の水をもって忌み 粧った顔は列なる館に住む 章をなすには必ず青を待たねばならぬ 君ひとり輝きを誇ってはならない
夾注 7
此篇翻韻
この篇は韻をひるがえした。
湛讀作漸車之漸。周禮冬官。鍾氏漸秫三月而熾之。湛。漬也。丹秫。紅粟也。熾。炊也。
「湛」は「漸車」の「漸」と読む。『周礼』冬官に「鍾氏が秫を三月漬けてから蒸す」とある。「湛」は漬けるの意である。丹秫は赤い粟である。「熾」は蒸すの意である。
風流陣事。
「風流陣」の事である。
石崇錦步障事。
石崇の錦の步障の話である。
元傑湞陽東嶺洞谷銘云。燒丹竈兮坐山腹。
元傑の「湞陽東嶺洞谷銘」に「丹を焼く竈よ、山の腹に座る」とある。
大玄云。赤舌燒城。吐水千甁。
「太玄」に「赤い舌が城を焼き、千の瓶の水を吐く」とある。
命家。有靑赤爲文。
命家に、青と赤をもって文とするという言葉がある。