丁秘監が先に寄せた詩に和し、墨で描いた竹と肖像を自ら訪ねて来て贈ってくれたので次韻する — 墨で描いた竹を謝す次韻丁秘監和前所寄詩。以墨竹影子親訪見贈 謝墨竹
予於翫好中。取最不取亞。眼品妄自擡。未肯輕取捨。取書必鍾王。取樂必韶夏。墨竹當取君。求得數四朶。此是士夫戱。孰於君得過。一叢與一莖。已直千金價。有手不自私。且問何時寫。想子下筆時。神鬼助軒簸。方其靜凝神。寧顧大山墮。中有萬尺勢。雲外已逈跨。猶嫌比蕭郞。况更論與可。掃眞君所長。評品莫如我。衆眼亦同看。誰謂吾言詐。愿得新成印。標以篆文赭。家藏囑子孫。勿使人傳借。懸知百世後。此竹貴天下。是時覓君蹟。求馬唐肆者。
わたしは玩(もてあそ)び好むものの中で 最上を取り、次のものは取らない 眼の品定めをみずから高く構えて 軽々しく取ったり捨てたりはしない 書を取るなら必ず鍾繇と王羲之 楽を取るなら必ず「韶」と「夏」である 墨で描いた竹なら当然君を取るので 数枝を求めて得た これは士大夫の戯れであるのに 誰が君より勝るだろう 一叢と一茎が すでに千金の値に当たる 手があっても自ら惜しまないのだから そこで問う、いつお描きになったのか 思うに君が筆を下ろすとき 鬼神が助けて、箕(み)で扇ぐように揺れ動いたのだろう まさに静かに精神を凝らすときには 大きな山が崩れたとて、どうして顧みよう その中に万尺の勢いがあって 雲の外にすでに遥かに跨(また)がっている なお蕭郎に比べることさえ嫌うのだから まして与可を論ずることがあろうか 真の姿を描き出すのは君の長ずるところで 品定めをすることでは、わたしに及ぶ者がない 多くの眼もまた同じように見ているのに 誰がわたしの言葉を偽りだと言おう 願わくは新しく刻んだ印を得て 赤い篆文で印(しるし)をつけてほしい 家に蔵(おさ)めて子孫に言いつけ 人に回して貸さぬようにさせよう 遥かに知っている、百世の後には この竹が天下に貴ばれるだろうと そのとき君の跡を探す者は 空(から)の市で馬を求めるようなものだろう
夾注 1
近者。晉陽公使刻印其章曰。東國而安之印。每畫竹標之。
近ごろ晋陽公がその印を刻ませて「東国而安之印」と言い、竹を描くたびにそれを押している。