幽州の李可挙大王へ ― その三幽州李可擧大王 第三
1精鋭の騎兵五千をお貸しください
伏以蜂蟻巢窠。猶能稔惡。熊羆隊伍。未見摧兇。在於義士忠臣。莫不痛心疾首。某蓋謂去年奉詔。遂於近境旋師。然今若終不自行。必恐竟無所就。已從中夏。遍閱大軍。待剗淮戎。卽登汴道。但以指其百勝。決此一行。人不異心。事希同力。侍中大王族榮周姓。爵貴漢封。固多報國之誠。常貯安邦之術。見玆禍難。忍不憂勤。某旣事征行。輒申控告。伏望差借兵士。助平寇戎。得貴藩精騎五千。勝諸道羸師十萬。佇收京闕。剋在旬時。亦已先具奏陳。所貴免成專輒。申包胥之告急。與此雖殊。趙充國之請行。于今可試。幸垂亮察。必賜允從。不敢獨擅茂勳。所冀均分重賞。忠誠之切。實在於斯。伏惟永存始終。早示可否。未間顒望。可想眷翹云云。
伏して思いますに、蜂や蟻の巣でさえ悪を満たすほどになるのに、熊や羆の隊伍が凶賊を砕いたとは聞きません。義士忠臣であれば、心を痛め頭を悩ませない者はおりません。私は昨年、詔を奉じて、ついに近い境で軍を引き返しました。しかし今、最後まで自ら出向かなければ、ついに何も成し得ないのではないかと恐れます。すでに中夏(真夏)のころから大軍をあまねく閲し、淮の戎を削り取るのを待って、ただちに汴の道に上ろうとしています。ただ百勝を指し示してこの一度の進発を決しようとするには、人に異心がなく、事に力を合わせていただくことが望まれます。侍中大王は一族が周の姓によって栄え、爵位は漢の封によって貴く、まことに国に報いる誠が多く、常に国家を安んじる術を蓄えておられます。この禍難を見て、憂え励まずにいられましょうか。私はすでに征行の務めに就きましたので、ここに訴えを申し上げます。伏して望みますに、兵士を割いてお貸しくださり、賊を平らげるのを助けてください。貴藩の精鋭の騎兵五千を得れば、諸道の疲れた軍十万に勝ります。都の宮門を取り返すのを待つのも、十日のうちでしょう。これもすでに先に奏上してありますので、尊いのは勝手な振る舞いにならずに済むという点です。申包胥が急を告げたのとは、これは異なりますが、趙充国が自ら行くことを請うたのは、今こそ試すことができます。どうか明らかにお察しくださり、必ずお許しに従ってください。盛んな勲功を独り占めするつもりはなく、重い賞を等しく分けたいと願うばかりで、忠誠の切なる思いはまことにここにあります。伏して思いますに、始めから終わりまで長く変わらぬお心を保ち、早く可否をお示しください。その間、仰ぎ望んでおりますので、こちらに向かう心をお察しいただけましょう。云々。