塩鉄の李都相公へ鹽鐵李都相公
1交代の後のお礼
某蒙恩忝官。不任感懼。伏以納言峻秩。眞食殊榮。有扶持社稷之功。有燮理陰陽之術。方居正位。允洽群情。如某德乏潤身。智慙周物。況逢多事。未展壯圖。動無効於啓行。靜有能於臥理。加以久司筦貨。實寡籌謀。旣虧於富國贍軍。深愧於木牛流馬。唯甘黜削。永遂優閒。豈料聖澤無偏。戎藩有忝。輈飛畫鹿。昔年而莫見休徵。冠聳豐貂。今日而愈慙非據。仍加班邑。何報聖朝。此皆僕射每賜保持。得榮交代。唯期勵節。共願匡時。陳謝末由。依攀益切云云。
私は恩を蒙り、かたじけなくも官を授かり、感激と恐れに堪えません。伏して思いますに、納言の高い位と真食の格別の栄誉は、社稷を支える功があり、陰陽を調え治める術があってはじめて、まさしくその正しい位に居て、まことに人々の心にかなうものです。私のような者は、徳は身を潤すに足らず、智は物に周く及ぶには恥ずかしく、まして事の多い時に出会って壮んな計画を広げられず、動いては道を開く効がなく、静かにしては臥したまま治める能があるばかりです。加えて長く財貨を司ったものの、まことに計略に乏しく、すでに国を富ませ軍を潤すことに欠け、木牛流馬の工に深く恥じております。ただ退けられ削られることを甘んじて受け、長く気楽な身になることを願っていました。それがどうして、聖恩に偏りがなく、戎藩の任をかたじけなく賜るとは思いもしませんでした。轅に鹿を描いて走らせても、去る年には良い兆しを見ることがなく、冠に豊かな貂が聳えるのは、今日いよいよ分不相応であることが恥ずかしいのに、さらに封邑まで加えられては、聖朝に何をもってお報いできましょうか。これはみな僕射がいつもお守り支えてくださったおかげで、栄えある交代を得られたのです。ただ節を励むことを期し、ともに時を正すことを願います。お礼を申し上げるすべもなく、お頼りする思いがいっそう切なるばかりです。云々。