いにしえの文 › 懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) › 巻15 軍門謄錄

京畿の巡察使に送った文移京畿巡察使文

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 懲毖錄 · 柳成龍(リュ・ソンリョン) · 1633年刊行(壬辰倭乱の後に著す) · 段落 7 · 漢字 819字 · 朗読 6.7分

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 巻15 軍門謄錄 壬辰倭乱が終わった後、領議政の柳成龍が自らの目で見たものを記して残した記録。「過ぎたことを懲らして後の憂いを慎む」という意で名を付けた。戦争がどのように始まり、朝廷が何を見落としたかを言い逃れなく記した。李舜臣を推挙したこと、明の軍とのいざこざ、民が経た惨状がそのまま収められている。

今此鍊兵之規欲以便於民故盡去近日他道鍊兵遠處往來煩擾之弊只就村民所居之地使不出其鄕而隨便鍊習易於成就假使外賊不來而人人旣習武藝則土賊亦不敢來犯而閭井得以安枕矣哨官等先知此意又以此意詳細敎訓於各村之民愼無驚疑謀避哨官旗隊總以下亦不可一毫侵擾以爲民弊務在上下相信以實心行實事無得應文塞責以長苟且之習農時則力於耕種有事則一心捍禦自此以往下可以保全父母妻子上可以捍衛國家有無限好事不然則流離分散不相顧護或陷於溝壑或蕩失家業其身且不能保况於他事乎此利害得失之較然明著者其各盡心施行江華喬桐措置事專委江華府使而鍊兵分部大槪亦依此例施行

今のこの兵を習わせる規は、民を便宜にしようとするものである。そのため近ごろほかの道で兵を習わせる時に遠い所を行き来して煩わしく騒がしかった弊をすべて除き、ただ村の民が住む地に就いて、その郷を出ずに便宜に従って習わせるので、成し遂げやすい。たとえ外の賊が来なくとも、人ごとにすでに武芸を習っていれば、土賊もまた敢えて来て犯さないであろうから、里は枕を高くして安らかに眠ることができる。

哨官らはまずこの趣旨を知り、またこの趣旨を各村の民に詳しく教え、驚き疑って避ける謀りを立てることのないようにせよ。哨官と旗總・隊總以下も、毛筋ほども侵して民の弊害となってはならない。努めるべきところは上下が互いに信じ、真の心で真の事を行うことにあるので、文で飾って責めを塞ぎ、かりそめの習いを育ててはならない。

農の季節には耕し植えることに力を尽くし、事があれば一つ心で防ぎ守れ。今より後、下は父母と妻子をまるごと保ち、上は国を防ぎ守ることができるので、限りなく良い事があるであろう。そうでなければ流れ離れて散り、互いに顧み護ることができず、あるいは溝や谷に落ち、あるいは家業をすべて失って自分の身さえ保てないであろうから、まして他の事は言うまでもない。これは利害と得失がはっきりと現れたものであるから、それぞれ心を尽くして施行せよ。

江華と喬桐で処置する事は、ひとえに江華府使に委ねるが、兵を習わせ部を分ける大略もまた、この例に従って施行せよ。

一京左京右京前京後皆設營一營統五司一司統五哨一哨統三旗一旗統三隊一營軍數大槪以二千五百人爲凖京左則於龍津設大營所統五司各於軍兵操鍊道里遠近不均處設一司敎場而其司所統各哨亦於所居里中設演習射藝之場平時則哨官各領其軍於里中敎場習射或放炮或習用槍疾走等事每月一次會於本司敎場習陣三朔一次五司軍人齊會於本營一日習陣次日比較所業而罷哨官旗隊總以下差等賞罰一司內軍人優等者三人中居首者一年復戶刷馬等事一切蠲免之次者六朔內刷馬雜役蠲除又次者三朔內雜役减除通五司居首者一年戶役雜事除减外或賞物或免賤免役或爲禁軍哨官善於其任者各別牒報重賞其或惰慢職事或憑公營私侵擾所屬軍士者訪問覈實重者從軍律重治事

一、京畿の左・右・前・後にみな營を置き、一つの營が五つの司を率い、一つの司が五つの哨を率い、一つの哨が三つの旗を率い、一つの旗が三つの隊を率いる。一つの營の軍の数は、おおむね二千五百人を基準とする。京畿左營は龍津に大營を置き、率いる五つの司は、それぞれ軍兵が操り習うのに道のりの遠近が均しくない所に、司ごとに教場を一つ置き、その司が率いる各哨もまた、住む里の中に射芸を習う場を置く。

平時には哨官がそれぞれその軍を率いて里の中の教場で射を習い、あるいは銃を放ち、あるいは槍の使い方や疾く走ることなどを習い、月ごとに一度本司の教場に会して陣を習い、三か月に一度、五つの司の軍人がみな共に本營に会して、一日は陣を習い、翌日は習ったところを比べ合わせて終える。哨官と旗總・隊總以下は等級を分けて賞し罰する。

一つの司の内で軍人のうち優れた三人のうち首を占めた者は、一年のあいだ戸役や刷馬などの事を一切免じ、その次の者は六か月のうちの刷馬と雑役を除き、またその次の者は三か月のうちの雑役を減ずる。五つの司を通して首を占めた者は、一年のあいだ戸役と雑事を減免するほか、あるいは物を賞として与え、あるいは賤と役を免じ、あるいは禁軍とする。哨官でその任をよく果たした者は格別に報せて重く賞し、そのうち職務を怠り、あるいは公を借りて私を営み、属する軍士を侵した者は、訪ね問うて事実を明らかにし、重い者は軍律に従って重く治める事。

一閭閻民丁則當入編伍之中此外出身武士禁軍等不仕在家者亦從時在之數略成隊伍稱爲遊軍不限多少以備調用事

一、里や巷の民の壮丁は、まさに伍を編む中に入るべきである。このほか出身や武士、禁軍などで仕えずに家にある者も、またその時ある数に従っておおよそ隊伍を成して遊軍と名づけ、多少を限らず、呼び用いる備えとする事。

一軍中哨探瞭望之人擇其性識伶俐詳知道路能出入山谷善於行步者每一司擇十人名爲哨探軍亦立隊長以統之各與搪報旗一面以備調用事

一、軍中で斥候し見張る人は、性と知識が利発で道をよく知り、山谷を出入りできて歩くのが上手な者を選び、一つの司ごとに十人を抜いて哨探軍と名づけ、やはり隊長を立てて率いさせ、それぞれ搪報の旗を一面ずつ与えて、呼び用いる備えとする事。

一每哨隨便備大小角及囉叭無事時軍人常常習吹能才者別錄牒報營將習陣之日試吹居首者三人亦依能射例論賞勸獎事

一、哨ごとに便宜に従って大小の角と囉叭を備え、事のない時に軍人が常に吹くことを習わせ、才のある者は別に書き記して報せておいて、營將が陣を習う日に吹かせ、首を占めた三人は、やはり射のよくできる例に従って賞を論じて励ます事。

一京右營設於秃城京前營設於竹山山城京後營設於坡州山城之下各營鍊習聚軍事依右例施行事

一、京畿右營は秃城に置き、京畿前營は竹山の山城に置き、京畿後營は坡州の山城の下に置く。各營で習い軍を集める事は、右の例に従って施行する事。

一京左營軍器則當於龍津別設軍器營遺廳多造弓箭鳥銃等物散給軍士以備鍊習之用京右營軍器亦於秃城設廳造作分給京前京後營軍器造作事亦依此料理施行

一、京畿左營の軍器は、まさに龍津に別に軍器營の廳を置いて弓と矢、鳥銃などの物を多く造って軍士に分け与え、習うのに用いさせ、京畿右營の軍器もまた秃城に廳を置いて造って分け与え、京畿前營と京畿後營の軍器を造る事も、またこれに従って計らって施行する事。