黃海道の巡察使に知らせた文諭黃海道巡察使文
本道軍兵束伍鍊習等事必已漸次成就矣賊情已變明春之事極爲可慮凡百措置乘此數月之內少無遺漏然後可以應倉率之變軍卒雖束伍而器械未備則無空手赴敵之理束伍中軍人所持器械皆爲點檢有無無者自官家措備以給本道之民勇悍善戰爲諸道之最如黃州延安鳳山安岳等處最爲武士之鄕今雖束伍而其外必多漏落經職可用之士前日義兵將成册相考招集使之多方抄擇以精勇爲主不使冗雜各義兵將中可堪統率者領之一人不必多領多則百名少則或五十名或二十餘名隨其所得分爲隊伍預備弓箭常川習射而臨時聽主將分付被抄之軍今送選牌見樣相考隨其軍數多備各自佩持別爲一類後成册上使雖有軍兵百萬無食可餉則終爲無用之物道內見存軍糧按簿可知其數至少不足以支數千兵一月之食脫有天兵大勢出來尤無支撑之勢凡干聚糓之道多般講究急速收合儲峙待用各官元糓中皮糓或作米收捧以便軍餉似爲宜當但各官倉糓今已畢捧則已捧之糓還爲散給迫促春正卜定其數又爲太重則民怨必深當此民生怨苦之際亦難輕易施行在本道參商民情事勢便宜處置海州不比他邑米糓所當優數儲峙以備意外之需而考見倉糓置簿則雜糓幷僅二千餘石可爲寒心海州倉糓別樣措置頃日朴汝龍募得米豆三千餘石亦當輸入於海洲道從事官所募米豆幷四百餘石留在鳳山此乃直路所經切於迎接。天兵因爲留置其處同郡箭竹和賣米糓亦在其處新郡守邊好謙處傳授以助軍餉之萬一
本道の軍兵の束伍と習わせる類の事は、必ずすでに次々に成し遂げられたであろう。賊の内がすでに変わったので、来年の春の事がきわめて憂慮される。あらゆる処置をこの数か月のうちに少しも漏らさぬようにした後にこそ、にわかな変に応ずることができる。
軍卒がたとえ束伍に入っていても、兵器が備わらなければ素手で賊へ進む理がない。束伍のうち軍人が持つ兵器をすべて有無を点検し、無い者は官家で調えて与えよ。
本道の民は勇ましく荒くてよく戦い、諸道の第一であり、黃州・延安・鳳山・安岳などの地は最も武士の多い郷である。今、束伍をしたが、そのほかに漏れた、かつて職を経た用いるに足る士が必ず多いであろう。先日の義兵將の成册を照らし合わせて呼び集め、さまざまに選び抜くが、精しく勇ましいことを主として、無用に混じらないようにせよ。各義兵將のうち率いることに堪えるに足る者が率いるが、一人が多く率いる必要はない。多ければ百名、少なければあるいは五十名、あるいは二十名余りを、得たとおりに隊伍に分けよ。あらかじめ弓と矢を備えて常に射を習い、時に臨んで主將の申し渡しを聞け。抜かれた兵は、今送る選牌の見本を照らし合わせて軍の数に応じて十分に備えてそれぞれ帯びさせ、別に一つの類として、後に成册して上げ送れ。
たとえ軍兵が百万あっても、食わせるものがなければ、ついに用のない物となる。道内に今ある軍糧は帳簿を照らし合わせればその数が分かるが、きわめて少なく、兵数千の一月食う分を供するにも足りない。もし明軍が大きな勢いで出て来れば、いよいよ支える勢いがない。およそ穀を集める道をさまざまに究めて急ぎ収め集めて積み置き、用いる時を待て。
各邑の元穀のうち皮のついた穀は、あるいは米にして収めて軍糧に便宜であるようにするのが当然であるようだ。ただ各邑の倉の穀を今すでにすべて収めたのであれば、すでに収めた穀をふたたび分け与え、春の正月を催してその数を定めることがまた重すぎれば、民の怨みが必ず深いであろう。このように民が怨み苦しむ時に当たって、やはり軽々しく施行しがたいので、本道が民情と事の勢いを参酌して便宜に処置せよ。
海州はほかの邑に比べるところではないので、米と穀をまさに十分な数で積み置いて思いがけぬ需めに備えるべきである。ところが倉の穀の帳簿を照らし合わせて見ると、雑穀を併せてわずか二千余石なので、心寒い。海州の倉の穀は格別に処置せよ。先日、朴汝龍が募って得た米と豆三千余石も、まさに海州へ運び入れよ。
道の從事官が募った米と豆、併せて四百余石は鳳山に留まっている。これは直路が通る所であって明軍を迎えるのに切実であるから、そのままその所に置け。その邑の箭竹を売って替えた米と穀もその所にあるので、新しい郡守邊好謙に伝え授けて、軍糧の万分の一でも助けさせよ。
夾注 3
底本は「亦當輸入於海洲」であるが、「海州」の誤りと見る。
底本は「後成册上使」であるが、「上送」の誤りと見る。
「箭竹」は、矢の軸に使う竹である。