尉繚子 — 原官尉繚子 原官
1官は事の主であり政治の根本
官者,事之所主,為治之本也。制者,職分四民,治之分也。貴爵富祿必稱,尊卑之體也。
官とは事をつかさどるものであり、政治の根本である。制とは四民の職分を分けることであり、政治の区分である。高い爵と厚い禄が必ず釣り合っていること、これが尊卑の体である。
2善を好み悪を罰し、井地を均しくする
好善罰惡,正比法,會計民之具也。均井地,節賦斂,取予之度也。程工人,備器用,匠工之功也。分地塞要,殄怪禁淫之事也。
善を好み悪を罰し、比べる法を正すのは、民を数え上げるための道具である。井地を均しくし、賦と取り立てを控えるのは、取ることと与えることの程度である。工人を見積もり、器物を備えるのは、匠や工の功である。土地を分け要害を塞ぐのは、怪しいものを絶ち、みだりなことを禁じる仕事である。
3臣下の節と君主の操
守法稽斷,臣下之節也。明法稽驗,主上之操也。明主守,等輕重,臣主之權也。明賞賚,嚴誅責,止姦之術也。審開塞,守一道,為政之要也。
法を守り、調べて決断するのは臣下の節である。法を明らかにし、調べて確かめるのは君主の操である。君主の守るところを明らかにし、軽重に等級をつけるのは、臣と君の権である。賞を明らかにし、罰を厳しくするのは、姦をとどめる術である。開くところと塞ぐところを見極め、一つの道を守るのは、政をとる要である。
4下が届き上が通じるのがきわめて明らかな聴き方
下達上通,至聰之聽也。知國有無之數,用其仂也。知彼弱者,強之體也。知彼動者,靜之決也。
下が届き上が通じるのが、きわめて明らかな聴き方である。国の有無の数を知るのは、その余りを使うことである。相手の弱いところを知るのは、強さの体である。相手の動きを知るのは、静かさの決断である。
5官を文と武に分けるのは王の二つの術
官分文武,惟王之二術也。俎豆同制,天子之會也。遊說間諜無自入,正議之術也。
官を文と武に分けるのは、王の二つの術である。俎と豆の祭器が同じ制であるのは、天子の会である。遊説の者や間諜がおのずから入り込めないのは、議論を正す術である。
6これがどうして王の至れる政でないことがあろうか
諸侯有謹天子之禮,君臣繼世,承王之命也。更造易常,違王明德,故禮得以伐之。官無事治,上無慶賞,民無獄訟,國無商賈,何王之至?明舉上達,在王垂聽也。
諸侯が天子の礼を謹み、君と臣が代を継いで王の命を承ける。制を作り変え、常を改めて王の明らかな徳に背けば、礼によってこれを討つことができる。官に裁く事がなく、上に賞すべきことがなく、民に訴訟がなく、国に商人がいない。これがどうして王の至れる政でないことがあろうか。明らかに人を挙げて上に届かせるのは、王が耳を傾けて聴くことにある。