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順命篇

明心宝鑑(心を明らかにする宝の鏡) 明心寶鑑 · 范立本 編 · 1393年(明・洪武26年) · 段落 17 · 漢字 318字 · 朗読 1.3分

明心宝鑑(心を明らかにする宝の鏡) 本編 心を明らかにする宝の鏡。経典と諸子百家から善く生きる道を抜き出して編んだ箴言集で、朝鮮の書堂では千字文の次に読まれた。八反歌八首と、孫順・印観・洪耆燮といった韓国の話も併せて収められている。

1死生は命にある

子夏曰:「死生有命,富貴在天。」

子夏が言った。「死ぬのも生きるのも命(めい)にあり、富貴は天にある。」

2行くも止まるも人の力ではない

孟子曰:「行或使之,止或尼之,行止非人所能也。」

孟子が言った。「行くのも何かがそうさせるのであり、止まるのも何かがそれを妨げるのであって、行くことも止まることも人のなしうるところではない。」

3ひと口も前めて定まっている

一飲一啄,事皆前定。

ひと口の水、ひとつまみの食べ物も、事はみな前(あらかじ)め定まっている。

4浮き草の人生だけがむだに忙しい

萬事分已定,浮生空自忙。

万事は分(ぶん)がすでに定まっているのに、浮き草のような人生がむだに独りで忙しい。

5一生は命が按排する

萬事不由人計較,一生都是命安排。

万事は人の思いはかるままにはならず、一生はすべて命(めい)が按排するものである。

6力の及ばない所が命である

《景行錄》雲:「凡不可著力處,便是命也。」

『景行録』に言う。「およそ力を用いることのできない所、それがすなわち命(めい)である。」

7才は福に及ばない

會不如命,智不如福。

才のあることは命(めい)に及ばず、智慧は福に及ばない。

8禍は免れることができず

《景行錄》雲:「禍不可以免,福不可再求。」

『景行録』に言う。「禍は免れようとして免れることができず、福は二度求めることができない。」

9かりそめに得ようとするな

《素書》雲:「見嫌而不苟免,見利而不苟得。」重刊本中此處還有一句:福至不可苟求,禍至不可苟免。

『素書』に言う。「嫌われても、かりそめに免れようとするな。利を見ても、かりそめに得ようとするな。」重刊本ではここにもう一句ある。「福が来てもかりそめに求めるな、禍が来てもかりそめに免れようとするな。」

10財に臨んでかりそめであるな

《曲禮》曰:「臨財毋苟得,臨難毋苟。」

『曲礼』に言う。「財に臨んでかりそめに得ようとするな、難に臨んでかりそめに免れようとするな。」

夾注 1

底本は「臨難毋苟」で終わり、「免れる」にあたる字が落ちている。通行本の「毋苟免」に従って読んだ。——訳者

11命を知る人

子曰:「知命之人,見利不動,臨死不怨。」

孔子が言った。「命(めい)を知る人は、利を見ても動かず、死に臨んでも怨まない。」

12一日を得たら一日を生きよ

得一日過一日,得一時過一時。

一日を得たら一日を過ごし、ひと時を得たらひと時を過ごせ。

13道は決まっただけ

緊行慢行,前程只有許多路。

急いで行こうとゆっくり行こうと、行く末にはただ決まっただけの道があるのみだ。

14時が来れば、運が去れば

時來風送滕王閣,運去雷轟薦福碑。

時が来れば風が滕王閣まで送ってくれ、運が去れば雷が薦福碑を砕く。

15命によるのであって人によるのではない

《列子》曰:「癡聾瘖癧家豪富,智慧聰明卻受貧。年月日時該載定,算來由命不由人。」

『列子』に言う。「愚かで耳が聞こえず口が利けなくても家は大いに富み、智慧があって聡明でもかえって貧しさを受ける。年も月も日も時もすべて載せて定まっているのだから、考えてみれば命(めい)によるのであって人によるのではない。」

16命になければ無理に求めるな

命裡有終須有,命裡無莫強求。

命(めい)の中にあれば最後には必ずあり、命の中になければ無理に求めるな。

17淡々と過ごせ

先儒曰:「世味非不濃艷,可以淡然處之。若富貴貧窮由我力取,則造物無權矣。」

昔の儒者が言った。「世の味わいが濃く艶やかでないわけではないが、淡々と過ごすべきである。もし富貴と貧窮が私の力で取れるものなら、造物主には何の権(ちから)もないことになる。」