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仙台仙臺

奥の細道(奥州へ向かう細道の記) 奥の細道 · 松尾芭蕉 · 元禄15年(1702年)刊 · 1689年の旅 · 段落 3 · 漢字 278字 · 朗読 0.7分

奥の細道(奥州へ向かう細道の記) 全一巻 「月日は百代の過客であり、行き交う年もまた旅人です」 — 芭蕉が四十六歳で江戸を離れ、奥州と北陸を五か月かけて歩いた紀行文。夏草に武士たちの夢を見、岩にしみ入る蝉の声を聞き、一つ屋根の下に眠る遊女を萩と月に見立てる。散文が終わるところごとに俳句が一句置かれる。法顕・玄奘・慧超の求法記と並ぶ、この書斎のもう一つの道である。

1仙台 — 菖蒲を葺く日

名取川渡りて仙台に入るあやめふく日也旅宿を求めて四五日逗留す

名取川を渡って仙台に入りました。軒に菖蒲を葺く日です。旅宿を求めて四、五日滞在しました。

2画工の加右衛門

ここに畫工加右衞門といふものあり聊心あるものと聞て知る人に成る此者年頃さだかならぬ名跡を考置き侍ればとて一日案內すみやぎ野のはぎしげりあひて秋のけしきおもひやらるゝ玉田橫野のつゝじか岡はあぜひさく頃なり日影ももらぬ松の林に入てこゝを木の下といふとぞむかしもかく露深けれはこそみさふらひみかさとはよみたれ藥師堂天神のみやしろなど拜みてその日はくれぬ

ここに画工の加右衛門という人がいます。少しは心ある人と聞いて、知り合いになりました。この人が、長年はっきりしない名跡を考えておきましたからと言って、一日案内してくれました。

宮城野の萩が茂り合って、秋の景色が思いやられます。玉田・横野・躑躅が岡は、あせびが咲く頃です。日の光も漏れない松の林に入ると、ここを木の下と言うのだそうです。昔もこのように露が深かったからこそ、「みさぶらひ、みかさ」と詠んだのでしょう。薬師堂や天神の社などを拝んで、その日は暮れました。

3草鞋の緒に菖蒲を

猶松島鹽がまの所々畫にかきて送るかつ紺のそめ緖つけたるわらつ一足餞すさればこそ風流のしれものこゝにいたりてその實をあらはす あやめ草足に結ばん草鞋の緖

そのうえ松島や塩がまの所々を絵に描いて送ってくれ、あわせて紺に染めた緒をつけた草鞋一足を餞別にくれました。やはりこれこそ風流に憑かれた人で、ここに至ってその実を表したのです。

菖蒲草を / 足に結びましょう 草鞋の緒として