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西山経の首西山經之首

山海経(山と海の彼方を記した経) 山海經 · 作者未詳 · 郭璞 注 · 戦国〜前漢(注は4世紀) · 段落 20 · 漢字 2,409字 · 朗読 9.6分

山海経(山と海の彼方を記した経) 山経・西山経 山の彼方と海の外の国々を記した最も古い地理書であり、神話の蔵である。一人が作ったものではなく、戦国時代から漢まで多くの手を経てできあがり、4世紀に郭璞が注を付けた。九尾の狐、精衛、夸父、刑天、西王母はみなここから出た。「東海の内、北海の隅に国があり、その名を朝鮮という」 — 朝鮮という名が残る最も早い記録の一つがこの書にある。

西山經華山之首,曰錢來之山,其上多松,其下多洗石。有獸焉,其狀如羊而馬尾,名曰羬羊,其脂可以已腊。

西山経の華山の連なりの最初は錢來山である。その上には松が多く、その下には洗石が多い。ここに獣があり、形は羊のようだが尾が馬のようである。名を羬羊といい、その脂は肌のひび割れを治すことができる。

夾注 3

澡洗可以磢體,去垢圿。磢,初兩反

体を洗うときに肌をこすって垢を落とすことができる。磢は初と兩の反切である。

今大月氐國有大羊如驢,而馬尾。《爾雅》云:羊六尺爲羬,謂此羊也。羬音針

今、大月氏国にロバほどの大きな羊がいて、尾が馬のようである。『爾雅』に「羊が六尺になれば羬という」とあるのが、この羊を指す。羬は針と同じ音である。

治體皴。腊音昔

肌のひび割れを治す。腊は昔と同じ音である。

西四十五里,曰松果之山。濩水出焉,北流注于渭,其中多銅。有鳥焉,其名曰䳋渠,其狀如山雞,黑身赤足,可以已𦢊。

西へ四十五里行くと松果山である。濩水がここから出て、北に流れて渭水に入る。その水には銅が多い。ここに鳥があり、名を䳋渠という。形はヤマドリのようで、体が黒く足が赤い。肌のひび割れを治すことができる。

夾注 2

䳋,音彤弓之彤

䳋は彤弓の彤と同じ音である。

謂皮皴起也。音叵駮反

肌がひび割れて浮き上がることをいう。叵と駮の反切である。

又西六十里,曰太華之山,削成而四方,其高五千仞,其廣十里,鳥獸莫居。有蛇焉,名曰肥𧔥,六足四翼,見則天下大旱。

さらに西へ六十里行くと太華山である。削ったように四角く、高さは五千仞、幅は十里である。鳥も獣も住まない。ここに蛇があり、名を肥𧔥という。足が六本、翼が四つあり、これが現れれば天下に大きな旱が起こる。

夾注 4

即西岳華陰山也。今在弘農,華陰縣西南

すなわち西岳の華陰山である。今、弘農郡の華陰県の西南にある。

今山形上大下小,峭峻也

今、山の形は上が大きく下が小さくて険しい。

仞,八尺也。上有明星玉女,持玉漿得上,服之即成仙。道險僻不通,時含神霧云

仞は八尺である。その上に明星玉女がいて玉の漿を持って登り、それを飲めばたちまち仙人になる。道が険しく辺遠で通じず、時おり神々しい霧を含むという。

湯時此蛇見於陽山下。復有肥遺蛇,疑是同名

湯王の時、この蛇が陽山の下に現れた。肥遺という蛇が別にあるので、名が同じものであるらしい。

又西八十里,曰小華之山,其木多荊杞,其獸多㸲牛,其陰多磬石,其陽多㻬琈之玉,鳥多赤鷩,可以禦火,其草有萆荔,狀如烏韭,而生於石上,亦緣木而生,食之已心痛。

さらに西へ八十里行くと小華山である。その木はイバラとクコが多く、その獣は㸲牛が多い。陰の側には磬石が多く、日の当たる側には㻬琈の玉が多い。鳥は赤鷩が多く、火を防ぐことができる。その草には萆荔があり、形は烏韭のようで石の上に生え、木を伝っても育つ。これを食べれば胸の痛みが治る。

夾注 7

即少華山

すなわち少華山である。

今華陽山中多山牛山羊,肉皆千斤,牛即此牛也,音昨

今、華陽山の中に山牛と山羊が多く、肉はどれも千斤である。牛とはすなわちこの牛である。昨と同じ音である。

可以爲樂石

楽器に用いる石とすることができる。

㻬琈玉,名所未詳也。雩浮兩音

㻬琈の玉は、名が詳しく分からない。雩と浮の二つの音である。

赤鷩,山雞之屬。胷腹、洞赤、冠金皆黃頭綠尾,中有赤毛,彩鮮明。音作蔽,或作鱉

赤鷩はヤマドリの類である。胸と腹が一面に赤く、冠が金色で、頭はどれも黄色く尾は緑である。その中に赤い毛があって色艶が鮮やかである。蔽と読み、鱉と読むこともある。

萆荔,香草也。蔽戾兩音

萆荔は香りのよい草である。蔽と戾の二つの音である。

鳥韭在屋者曰邪,在牆者曰垣衣

烏韭が屋根に生えたものを邪といい、垣に生えたものを垣衣という。

又西八十里,曰符禺之山,其陽多銅,其陰多鐵。其上有木焉,名曰文莖,其實如棗,可以已聾。其草多條,其狀如葵,而赤華黃實,如嬰兒舌,食之使人不惑。符禺之水出焉,而北流注于渭。其獸多蔥聾,其狀如羊而赤鬛。其鳥多鴖,其狀如翠而赤喙,可以禦火。

さらに西へ八十里行くと符禺山である。日の当たる側には銅が多く、陰の側には鉄が多い。その上に木があり、名を文莖という。その実はナツメのようで、耳の聞こえないのを治すことができる。その草は條が多く、形はアオイのようで花が赤く実が黄色く、赤子の舌のようである。これを食べれば人は惑わされない。符禺の水がここから出て、北に流れて渭水に入る。その獣は蔥聾が多く、形は羊のようだがたてがみが赤い。その鳥は鴖が多く、形はカワセミのようだが嘴が赤く、火を防ぐことができる。

夾注 3

音旻

鴖は旻と同じ音である。

翠似燕而紺色也

カワセミはツバメに似ていて紺色である。

畜之辟火災也

これを飼えば火事を避ける。

又西六十里,曰石脆之山,其木多椶柟,其草多條,其狀如韭,而白華黑實,食之已疥。其陽多㻬琈之玉,其陰多銅。灌水出焉,而北流注于禺水。其中有流赭,以塗牛馬無病。

さらに西へ六十里行くと石脆山である。その木はシュロとクスノキが多く、その草は條が多い。形はニラのようで花が白く実が黒い。これを食べれば疥癬が治る。日の当たる側には㻬琈の玉が多く、陰の側には銅が多い。灌水がここから出て、北に流れて禺水に入る。その水には流赭があり、牛や馬に塗れば病まない。

夾注 3

椶樹高三丈許,無枝條,葉大而員。枝生梢頭,實皮相裏上。行一皮者爲一節,可以爲繩。一名栟櫚,音馬駿之駿

シュロの木は高さが三丈ほどで、横に出る枝がなく、葉が大きくて丸い。枝は梢の先に生え、実は皮が互いに包み合う。皮一枚が一節となり、縄をなうことができる。栟櫚ともいい、馬駿の駿と同じ音である。

赭,赤土

赭は赤土である。

今人亦以朱塗牛角,云以辟惡。或作角

今の人も朱を牛の角に塗り、悪いものを避けるという。角と記したものもある。

又西七十里,曰英山,其上多杻橿,其陰多鐵,其陽多赤金。禺水出焉,北流注于招水,其中多䰷魚,其狀如鼈,其音如羊。其陽多箭䉋,其獸多㸲牛羬羊。有鳥焉,其狀如鶉,黃身而赤喙,其名曰肥遺,食之已癘,可以殺蟲。

さらに西へ七十里行くと英山である。その上には杻の木と橿の木が多く、陰の側には鉄が多く、日の当たる側には赤い金が多い。禺水がここから出て、北に流れて招水に入る。その水には䰷魚が多く、形はスッポンのようで、その声は羊のようである。日の当たる側には箭竹と䉋竹が多く、その獣は㸲牛と羬羊が多い。ここに鳥があり、形はウズラのようで体が黄色く嘴が赤い。名を肥遺といい、これを食べれば疫病が治り、虫を殺すことができる。

夾注 5

杻,似棣而細葉,一名土橿,音紐。橿木中車材,音姜

杻はニワザクラに似ているが葉が細い。土橿ともいい、紐と同じ音である。橿は車の材に適しており、姜と同じ音である。

音韶

招は韶と同じ音である。

音同蚌蛤之蚌

䰷は蚌蛤の蚌と同じ音である。

今漢中郡出䉋竹,厚裏而長節,根深,筍冬生地中,人掘取食之。䉋間媚

今、漢中郡で䉋竹が出る。中が厚く節が長く、根が深い。筍が冬に地中に生えるので、人が掘って食べる。䉋は間と媚の反切である。

癘,疫病也,或曰惡瘡。韓子曰:癘人憐主

癘は疫病である。あるいは悪性の瘡ともいう。『韓子』に「癘に病む者が主を憐れむ」とある。

又西五十二里,曰竹山,其上多喬木,其陰多鐵。有草焉,其名曰黃雚,其狀如樗,其葉如麻,白華而赤實,其狀如赭,浴之已疥,又可以已胕。竹水出焉,北流注于渭,其陽多竹箭,多蒼玉。丹水出焉,東南流注于洛水,其中多水玉,多人魚。有獸焉,其狀如豚而白毛,大如笄而黑端,名曰毫彘。

さらに西へ五十二里行くと竹山である。その上には高い木が多く、陰の側には鉄が多い。ここに草があり、名を黄雚という。形はニワウルシのようで葉はアサのようであり、花が白く実が赤く、その色は赤土のようである。これで洗えば疥癬が治り、また腫れたところを治すことができる。竹水がここから出て、北に流れて渭水に入る。日の当たる側にはササが多く、青い玉が多い。丹水がここから出て、東南に流れて洛水に入る。その水には水晶が多く、人魚が多い。ここに獣があり、形は豚のようだが白い毛が生えている。太さは簪ほどで先が黒い。名を毫彘という。

夾注 8

枝上竦者。音橋

枝が上に伸びたものである。橋と同じ音である。

紫赤色

紫がかった赤い色である。

治胕腫也。音符

腫れたところを治す。符と同じ音である。

箭篠也

ササである。

今所在有丹水

今、至るところに丹水がある。

如蹄魚,四腳

蹄魚のようで、足が四本ある。

笄簪屬

笄は簪の類である。

狟猪也。夾髀有麄豪,長數尺,能以脊上毫射物,亦自此爲牝牡狟,或作豭。吳楚呼爲鸞猪,亦此類也

狟猪である。股のそばに太い毛があって長さが数尺にもなり、背の毛で物を射ることができる。またこれをもって自ら雌雄をなすというので狟といい、豭と記したものもある。呉と楚では鸞猪と呼ぶが、これもまた同じ類である。

又西百二十里曰浮山,多盼木,枳葉而無傷,木蟲居之。有草焉,名曰薰草,麻葉而方莖,赤華而黑實,臭如蘼蕪,佩之可以已癘。

さらに西へ百二十里行くと浮山である。盼木が多く、カラタチの葉が出るが人を傷つけず、木の虫がその中に住む。ここに草があり、名を薰草という。葉はアサのようで茎が角張り、花が赤く実が黒い。香りが蘼蕪のようで、これを身に着ければ疫病を防ぐことができる。

夾注 5

音美目盼兮之盼

盼は「美しい目がはっきりしている」の盼と同じ音である。

枳,刺針也。能傷人,故名云

枳は刺である。人を傷つけるので、そう名づけたという。

在樹之中

木の中にいる。

音訓

薰は訓と同じ音である。

蘼蕪,香草。《易》曰:其臭如蘭。眉無兩音

蘼蕪は香りのよい草である。『易』に「その香りは蘭のようである」とある。眉と無の二つの音である。

又西七十里,曰羭次之山,漆水出焉,北流注于渭。其上多棫橿,其下多竹箭,其陰多赤銅,其陽多嬰垣之玉。有獸焉,其狀如禺而長臂,善投,其名曰嚻。有鳥焉,其狀如梟,人面而一足,曰橐𩇯,冬見夏蟄,服之不畏雷。

さらに西へ七十里行くと羭次山である。漆水がここから出て、北に流れて渭水に入る。その上には棫の木と橿の木が多く、その下にはササが多い。陰の側には赤い銅が多く、日の当たる側には嬰垣の玉が多い。ここに獣があり、形は猿のようだが腕が長く、よく物を投げる。名を嚻という。ここに鳥があり、形はフクロウのようだが顔が人で足が一本である。橐𩇯といい、冬に現れて夏に隠れる。その羽を身に着ければ雷を恐れない。

夾注 7

音臾

羭は臾と同じ音である。

今漆水出岐山

今、漆水は岐山から出る。

棫,白綏也,音域

棫は白綏である。域と同じ音である。

垣,或作短、或作根、或作埋,傳寫謬錯,未得其詳

垣を短と記したり、根と記したり、埋と記したりするので、写し伝える間に誤ったものであり、その詳しいことは分からない。

亦在畏獸畫中,似獼猴投擲也

これもまた畏ろしい獣を描いた絵の中にあり、猿が物を投げるのに似ている。

音肥

𩇯は肥と同じ音である。

著其毛羽令人不畏天雷也,或作災

その羽毛を身に着けると、人が天の雷を恐れないようにする。災と記したものもある。

又西百五十里,曰時山,無草木。逐水出焉,北流注于渭,其中多水玉。

さらに西へ百五十里行くと時山である。草も木もない。逐水がここから出て、北に流れて渭水に入る。その水には水晶が多い。

又西百七十里,曰南山,上多丹粟。丹水出焉,北流注于渭。獸多猛豹,鳥多尸鳩。

さらに西へ百七十里行くと南山である。上には粟のような丹砂が多い。丹水がここから出て、北に流れて渭水に入る。獣は猛豹が多く、鳥は尸鳩が多い。

夾注 2

猛豹似熊而小,毛淺有光澤,能食蛇,食銅鐵,出蜀中

猛豹はクマに似ているが小さく、毛が短くて艶がある。蛇を食べ、銅や鉄を食べ、蜀の地に出る。

尸鳩,布穀類也,或曰鶘鸇也。鳩或作丘

尸鳩はカッコウの類である。あるいは鶘鸇ともいう。鳩を丘と記したものもある。

又西四百八里,曰大時之山,上多榖、柞,下多杻、橿,陰多銀,陽多白玉。涔水出焉,北流注于渭。清水出焉,南流注于漢水。

さらに西へ四百八里行くと大時山である。上にはコウゾとカシワが多く、下には杻の木と橿の木が多い。陰の側には銀が多く、日の当たる側には白い玉が多い。涔水がここから出て、北に流れて渭水に入る。清水がここから出て、南に流れて漢水に入る。

夾注 3

柞櫟

柞はカシワである。

音潛

涔は潛と同じ音である。

今河內脩武縣縣北,黑山亦出清水

今、河内の脩武県の北の黒山からも清水が出る。

又西三百二十里,曰嶓塚之山,漢水出焉,而東南流注于沔;嚻水出焉,北流注于湯水。其上多桃枝鉤端,獸多犀兕熊羆,鳥多白翰赤鷩。有草焉,其葉如蕙,其本如桔梗,黑華而不實,名曰蓇蓉。食之使人無子。

さらに西へ三百二十里行くと嶓塚山である。漢水がここから出て、東南に流れて沔水に入り、嚻水がここから出て、北に流れて湯水に入る。その上には桃枝と鉤端が多く、獣はサイ・一角のサイ・クマ・ヒグマが多く、鳥は白翰と赤鷩が多い。ここに草があり、その葉は蕙のようで、根はキキョウのようであり、花が黒くて実を結ばない。名を蓇蓉といい、これを食べれば子を持てなくなる。

夾注 9

音波

嶓は波と同じ音である。

在今武都氐道縣南

今の武都郡の氐道県の南にある。

至江夏安陸縣江即沔水

江夏郡の安陸県に至れば、その川がすなわち沔水である。

鉤端,桃枝屬

鉤端は桃枝の類である。

羆似熊而黃白色,猛憨能拔樹

ヒグマはクマに似ているが黄白色で、荒々しく木を引き抜くことができる。

白翰,白𪂂也。亦名𪂂雉,又曰白雉

白翰は白い雉である。𪂂雉ともいい、また白雉ともいう。

蕙,香草、蘭屬也,或以蕙叶失之,音惠

蕙は香りのよい草で、蘭の類である。蕙の葉と解するのは誤りである。惠と同じ音である。

本,根也

本は根である。

《爾雅釋草》曰:榮而不實謂之蓇,音骨

『爾雅』「釋草」に「花が咲いて実を結ばないものを蓇という」とある。骨と同じ音である。

又西三百五十里,曰天帝之山,上多椶枏,下多菅蕙。有獸焉,其狀如狗,名曰谿邊,席其皮者不蠱。有鳥焉,其狀如鶉,黑文而赤翁,名曰櫟,食之已痔。有草焉,其狀如葵,其臭如蘼蕪,名曰杜衡,可以走馬,食之已癭。

さらに西へ三百五十里行くと天帝山である。上にはシュロとクスノキが多く、下には菅と蕙が多い。ここに獣があり、形は犬のようで、名を谿邊という。その皮を敷いて座る者は蠱にかからない。ここに鳥があり、形はウズラのようで、黒い文様があって首の毛が赤い。名を櫟といい、これを食べれば痔が治る。ここに草があり、形はアオイのようで香りが蘼蕪のようである。名を杜衡といい、馬をよく走らせ、これを食べれば瘤が治る。

夾注 5

管茅類也

菅は茅の類である。

翁,頭下毛,音汲甕之甕

翁は頭の下の毛である。汲甕の甕と同じ音である。

音沙礫之礫

櫟は沙礫の礫と同じ音である。

香草也

香りのよい草である。

帶之令人便馬,或曰馬得之而捷走

これを身に着ければ馬をうまく扱えるようになる。あるいは、馬がこれを得れば速く走るともいう。

西南三百八十里,曰塗途之山,薔水出焉,西流注于諸資之水;涂水出焉,南流注于集獲之水。其陽多丹粟,其陰多銀、黃金,其上多桂木。有白石焉,其名曰礜,可以毒鼠。有草焉,其狀如稾茇,其葉如葵而赤背,名曰無條,可以毒鼠。有獸焉,其狀如鹿而白尾,馬腳人手而四角,名曰𤣎如。有鳥焉,其狀如鴟而人足,名曰數斯,食之已癭。

西南へ三百八十里行くと塗途山である。薔水がここから出て、西に流れて諸資の水に入り、涂水がここから出て、南に流れて集獲の水に入る。日の当たる側には粟のような丹砂が多く、陰の側には銀と黄金が多く、その上には桂の木が多い。ここに白い石があり、名を礜という。鼠を毒で殺すことができる。ここに草があり、形は稾茇のようで、葉はアオイのようだが裏が赤い。名を無條といい、鼠を毒で殺すことができる。ここに獣があり、形は鹿のようだが尾が白く、脚が馬のようで手が人のようであり、角が四つある。名を𤣎如という。ここに鳥があり、形はトビのようだが足が人である。名を數斯といい、これを食べれば瘤が治る。

夾注 6

音色

薔は色と同じ音である。

今礜石殺鼠。音豫,蚕食之而肥。

今も礜石は鼠を殺す。豫と同じ音である。蚕はこれを食べると肥える。

稾茇,香草。

稾茇は香りのよい草である。

前伸兩腳似人手。

前の二本の脚を伸ばしたのが人の手のようである。

音猳嬰之嬰

𤣎は猳嬰の嬰と同じ音である。

一作:一作蕢、一作富

薔について「蕢ともいい、富ともいう」と記したものもある。

又西百八十里,曰黃山,無草木,多竹箭。盼水出焉,西流注于赤水,其中多玉。有獸焉,其狀如牛,而蒼黑大目,其狀曰𤛎。有鳥焉,其狀如鴞,青羽赤喙,人舌能言,名曰鸚䳇。

さらに西へ百八十里行くと黄山である。草も木もなく、ササが多い。盼水がここから出て、西に流れて赤水に入る。その水には玉が多い。ここに獣があり、形は牛のようだが青黒く目が大きい。その名を𤛎という。ここに鳥があり、形はミミズクのようで羽が青く嘴が赤い。舌が人のようで、物を言うことができる。名を鸚鵡という。

夾注 3

今始平槐里縣有黃山,上故有宮,漢惠帝所起疑非此。

今、始平郡の槐里県に黄山があり、その上に古い宮がある。漢の惠帝が建てたものである。ここではないらしい。

音美目眄兮之眄。

盼は「美しい目が流し目をする」の眄と同じ音である。

鸚䳇舌似小儿舌,脚指前後各兩。扶南徼外出五色者,其亦有純赤、白者,大如鴈也

鸚鵡は舌が幼い子の舌に似ており、足の指が前後にそれぞれ二本ある。扶南の外では五色のものが出て、一面に赤いものや白いものもあり、大きさはガンほどである。

又西二百里,曰翠山,其上多椶枏,其下多竹箭,其陽多黃金、玉,其陰多旄牛、麢、麝;其鳥多鸓,其狀如鵲,赤黑而兩首四足,可以禦火。

さらに西へ二百里行くと翠山である。その上にはシュロとクスノキが多く、その下にはササが多い。日の当たる側には黄金と玉が多く、陰の側にはヤクとレイヨウとジャコウジカが多い。その鳥は鸓が多く、形はカササギのようで赤黒く、頭が二つ足が四本ある。火を防ぐことができる。

夾注 2

麢似羊而大角,細食,好在山崖間;麝似獐而小,有香

レイヨウは羊に似ているが角が大きく、食が細く、山の崖の間にいるのを好む。ジャコウジカはノロに似ているが小さく、香りがある。

音壘

鸓は壘と同じ音である。

又西二百五十里,曰騩山,是錞于西海,無草木,多玉。淒水出焉,西流于於海,其中多采石、黃金,多丹粟。

さらに西へ二百五十里行くと騩山である。西の海に臨んでおり、草も木もなく、玉が多い。淒水がここから出て、西に流れて海に入る。その水には采石と黄金が多く、粟のような丹砂が多い。

夾注 3

音巍,一音隗囂之隗

騩は巍と同じ音である。隗囂の隗と同じ音であるともいう。

錞猶堤埻也,音章閏反

錞は堤と同じ意味である。章と閏の反切である。

采石,石有采色者,今雌黃,空青綠碧之屬

采石は色のある石である。今の雌黄・空青・緑碧のような類である。

凡西經之首,自錢來之山至於騩山,凡十九山,二千九百五十七里。華山冢也,其祠之禮:太牢。羭山神也,祠之用燭,齋百日以百犧,瘞用百瑜,湯其酒百樽,嬰以百珪百璧。其餘十七山之屬,皆毛牷,用一羊祠之。燭者百草之未灰,白席采等純之。

およそ西経の最初は、錢來山から騩山まで、合わせて十九の山、二千九百五十七里である。華山は冢である。その祀りの礼は太牢を用いる。羭山は神の宿る所なので、祀りには燭を用いる。百日斎戒して百頭の犧を用い、百の瑜玉を埋める。酒を百樽温め、珪百と璧百を並べて祀る。その他の十七の山に属するものは、どれも毛色が整って体の揃った生贄とし、羊一頭で祀る。燭というのは、さまざまな草がまだ灰になっていないものである。白い敷物に彩りで縁を取る。

夾注 8

冢者,神鬼之所舍也

冢は、神や鬼の宿る所である。

牛、羊、豖爲太牢

牛と羊と豚を太牢という。

牲純色者爲犧

生贄のうち色の純なものを犧という。

瑜亦美玉名,音臾

瑜も美しい玉の名である。臾と同じ音である。

溫酒令熱

酒を温めて熱くする。

嬰謂陳之以環祭也。或曰嬰即古罌字,謂盂也。徐州云《穆天子傳》曰:「黃金之嬰」之屬也

嬰は、取り巻くように並べて祀るという意味である。あるいは嬰は古い罌の字であり、鉢を指すともいう。徐州では『穆天子伝』の「黄金の嬰」がその類であるという。

牷謂牲體全具也。《左傳》曰:「牷牲,肥腯者也。」

牷は、生贄の体が完全に揃っていることを指す。『左伝』に「牷牲は、肥えて脂の乗ったものである」とある。

純,緣也,五色純之等差。其文䌽也,《周禮》莞席紛純

純は、縁を取ることである。五色で縁を取るが、それに等級がある。その文様が彩りである。『周礼』に「莞席を紛純にする」とある。