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中山経 第九中次九經

山海経(山と海の彼方を記した経) 山海經 · 作者未詳 · 郭璞 注 · 戦国〜前漢(注は4世紀) · 段落 17 · 漢字 849字 · 朗読 3.4分

山海経(山と海の彼方を記した経) 山経・中山経 山の彼方と海の外の国々を記した最も古い地理書であり、神話の蔵である。一人が作ったものではなく、戦国時代から漢まで多くの手を経てできあがり、4世紀に郭璞が注を付けた。九尾の狐、精衛、夸父、刑天、西王母はみなここから出た。「東海の内、北海の隅に国があり、その名を朝鮮という」 — 朝鮮という名が残る最も早い記録の一つがこの書にある。

《中次九經》岷山之首,曰女几之山,其上多石涅,其木多杻橿,其草多菊𦬸。洛水出焉,東注于江,其中多雄黃,其獸多虎豹。

『中次九経』。岷山の連なりの始まりは女几山である。その上には石涅が多く、その木には杻と橿が多く、その草には菊と大根が多い。洛水がここから出て、東へ流れて江に入る。その水には雄黄が多く、その獣には虎と豹が多い。

又東北三百里,曰岷山。江水出焉,東北流注于海,其中多良龜,多鼉,其上多金玉,其下多白瑉,其木多梅棠,其獸多犀象,多夔牛,其鳥多翰鷩。

さらに東北へ三百里行くと岷山である。江水がここから出て、東北へ流れて海に入る。その水には良い亀が多く、鼉が多い。その上には金と玉が多く、その下には白い瑉が多く、その木には梅と棠梨が多い。その獣には犀と象が多く、夔牛が多く、その鳥には翰と鷩が多い。

又東北一百四十里,曰崍山,江水出焉,東流注于江。其陽多黃金,其陰多麋麈,其木多檀柘,其草多䪥韭,多葯、空奪。

さらに東北へ百四十里行くと崍山である。江水がここから出て、東へ流れて江に入る。日の当たる側には黄金が多く、日陰の側には麋と麈が多い。その木には檀と山桑が多く、その草には薤と韭が多く、葯と空奪が多い。

又東一百五十里,曰崌山。江水出焉,東流注于大江,其中多怪蛇,多䲀魚,其木多楢杻,多梅梓,其獸多夔牛麢㚟犀兕。有鳥焉,狀如鴞而赤身白首,其名曰竊脂,可以禦火。

さらに東へ百五十里行くと崌山である。江水がここから出て、東へ流れて大江に入る。その水には怪しい蛇が多く、䲀魚が多い。その木には楢と杻が多く、梅と梓が多く、その獣には夔牛・麢・㚟・犀・兕が多い。ここに鳥がいる。姿は鴞のようで体が赤く頭が白い。その名を竊脂といい、火を防ぐことができる。

又東三百里,曰高梁之山,其上多堊,其下多砥礪,其木多桃枝鉤端。有草焉,狀如葵而赤華、莢實、白柎,可以走馬。

さらに東へ三百里行くと高梁山である。その上には白土が多く、その下には砥石が多く、その木には桃枝と鉤端が多い。ここに草がある。姿は葵のようで花が赤く、実は莢で萼が白い。馬をよく走らせることができる。

又東四百里,曰蛇山,其上多黃金,其下多堊,其木多栒,多橡章,其草多嘉榮、少辛。有獸焉,其狀如狐,而白尾長耳,名𤜣狼,見則國內有兵。

さらに東へ四百里行くと蛇山である。その上には黄金が多く、その下には白土が多く、その木には栒が多く、橡と豫章が多い。その草には嘉栄と細辛が多い。ここに獣がいる。姿は狐のようで尾が白く耳が長い。名を𤜣狼といい、これが現れると国の内に兵乱が起こる。

又東五百里,曰鬲山,其陽多金,其陰多白珉。蒲𪈘之水出焉,而東流注于江,其中多白玉,其獸多犀象熊羆,多猨蜼。

さらに東へ五百里行くと鬲山である。日の当たる側には金が多く、日陰の側には白い珉が多い。蒲𪈘水がここから出て、東へ流れて江に入る。その水には白い玉が多く、その獣には犀・象・熊・羆が多く、猿と蜼が多い。

又東北三百里,曰隅陽之山,其上多金玉,其下多青雘,其木多梓桑,其草多茈。徐之水出焉,東流注于江,其中多丹粟。

さらに東北へ三百里行くと隅陽山である。その上には金と玉が多く、その下には青雘が多く、その木には梓と桑が多く、その草には茈草が多い。徐水がここから出て、東へ流れて江に入る。その水には粟のような丹砂が多い。

又東二百五十里,曰岐山,其上多白金,其下多鐵。其木多梅梓,多杻楢。減水出焉,東南流注于江。

さらに東へ二百五十里行くと岐山である。その上には白金が多く、その下には鉄が多い。その木には梅と梓が多く、杻と楢が多い。減水がここから出て、東南へ流れて江に入る。

又東三百里,曰勾檷之山,其上多玉,其下多黃金,其木多櫟柘,其草多芍藥。

さらに東へ三百里行くと勾檷山である。その上には玉が多く、その下には黄金が多く、その木には櫟と山桑が多く、その草には芍薬が多い。

又東一百五十里,曰風雨之山,其上多白金,其下多石涅;其木多棷椫,多楊。宣余之水出焉,東流注于江,其中多蛇。其獸多閭麋,多麈豹虎,其鳥多白鷮。

さらに東へ百五十里行くと風雨山である。その上には白金が多く、その下には石涅が多い。その木には棷と椫が多く、楊が多い。宣余水がここから出て、東へ流れて江に入る。その水には蛇が多い。その獣には閭と麋が多く、麈と豹と虎が多く、その鳥には白い鷮が多い。

又東北二百里,曰玉山,其陽多銅,其陰多赤金,其木多豫章楢杻,其獸多豕鹿麢㚟,其鳥多鴆。

さらに東北へ二百里行くと玉山である。日の当たる側には銅が多く、日陰の側には赤金が多い。その木には豫章と楢と杻が多く、その獣には猪・鹿・麢・㚟が多く、その鳥には鴆が多い。

又東一百五十里,曰熊山。有穴焉,熊之穴,恒出神人。夏啟而冬閉;是穴也,冬啟乃必有兵。其上多白玉,其下多白金,其林多樗柳,其草多寇脫。

さらに東へ百五十里行くと熊山である。ここに穴がある。熊の穴であり、常に神人が出る。夏に開き冬に閉じる。この穴が冬に開くと必ず兵乱が起こる。その上には白い玉が多く、その下には白金が多く、その林には樗と柳が多く、その草には寇脱が多い。

又東一百四十里,曰騩山,其陽多美玉赤金,其陰多鐵,其木多桃枝荊𦬊。

さらに東へ百四十里行くと騩山である。日の当たる側には美しい玉と赤金が多く、日陰の側には鉄が多く、その木には桃枝と荊と𦬊が多い。

又東二百里,曰葛山,其上多赤金,其下多瑊石,其木多柤栗橘櫾楢杻,其獸多麢㚟,其草多嘉榮。

さらに東へ二百里行くと葛山である。その上には赤金が多く、その下には瑊石が多い。その木には柤・栗・橘・柚・楢・杻が多く、その獣には麢と㚟が多く、その草には嘉栄が多い。

又東一百七十里,曰賈超之山,其陽多黃堊,其陰多美赭,其木多柤栗橘櫾,其中多龍脩。

さらに東へ百七十里行くと賈超山である。日の当たる側には黄堊が多く、日陰の側には良い赭土が多い。その木には柤・栗・橘・柚が多く、その中には龍脩が多い。

凡岷山之首,自女几山至于賈超之山,凡十六山,三千五百里。其神狀皆馬身而龍首。其祠:毛用一雄雞瘞。糈用稌。文山、勾檷、風雨、騩之山,是皆冢也,其祠之:羞酒,少牢具,嬰毛一吉玉。熊山,帝也,其祠:羞酒,太牢具,嬰用一璧。干儛,用兵以禳;祈,璆冕舞。

およそ岷山の連なりの始まりは、女几山から賈超山まで合わせて十六の山、三千五百里である。その神は姿がみな体が馬で頭が龍である。その祭りは、毛の全い雄鶏一羽を埋め、供え米には糯米を用いる。文山・勾檷山・風雨山・騩山はみな冢であり、これらの祭りは、酒を供え少牢を備え、嬰には毛の全い牲と吉玉一つを用いる。熊山は帝の山であり、その祭りは、酒を供え太牢を備え、嬰には璧一つを用いる。盾の舞を舞い、武器を用いて災いを払い、祈るときは玉を垂らし冕をかぶって舞う。