天竺迦毗黎国天竺迦毗黎國
1天竺迦毗黎国
元嘉五年,國王月愛遣使奉表曰:
元嘉五年、国王の月愛が使者を遣わして上表を奉った。
2月愛の上表 — 揚都を讃える
:伏聞彼國,據江傍海,山川周固,眾妙悉備,莊嚴清淨,猶如化城,宮殿莊嚴,街巷平坦,人民充滿,歡娛安樂。聖王出遊,四海隨從,聖明仁愛,不害眾生,萬邦歸仰,國富如海。國中眾生,奉順正法,大王仁聖,化之以道,慈施羣生,無所遺惜。帝修淨戒,軌道不及,無上法船,濟諸沈溺,羣僚百官,受樂無怨,諸天擁護,萬神侍衞,天魔降伏,莫不歸化。王身端嚴,如日初出,仁澤普潤,猶如大雲,聖賢承業,如日月天,於彼真丹,最為殊勝。
「伏して聞きますに、そちらの国は江に拠り海を傍らにして、山川はあまねく堅固で、もろもろの妙なるものがことごとく備わり、荘厳で清浄なさまは化城のようであり、宮殿は荘厳、街や巷は平らかで、人民は満ちあふれ、喜び楽しんで安らかであるとのこと。聖王がお出ましになれば四海が従い、聖明にして仁愛あり、衆生を害されないので、万邦が帰して仰ぎ、国の富は海のようです。国中の衆生は正法を奉じ従い、大王は仁にして聖、道によってこれを教化し、群生に慈しみを施して惜しむところがありません。帝は清らかな戒を修められ、その軌道には及びがたく、無上の法の船で沈み溺れる者たちを救い、群僚百官は楽しみを受けて怨みがなく、諸天が擁護し、万神が侍り護り、天魔は降伏して、帰し化さぬものがありません。王の身は端正で荘厳、日が初めて出るようであり、仁の恵みがあまねく潤すさまは大いなる雲のようで、聖賢が業を継ぐさまは日月天のようであり、あの真丹において最も殊に勝れておられます。
3迦毗河の城
:臣之所住,名迦毗河,東際于海,其城四邊,悉紫紺石,首羅天護,令國安隱。國王相承,未嘗斷絕,國中人民,率皆修善,諸國來集,共遵道法,諸寺舍子,皆七寶形像,眾妙供具,如先王法。臣自修檢,不犯道禁,臣名月愛,棄世王種。
臣の住むところは迦毗河と申し、東は海に接し、その城の四方の縁はことごとく紫紺石で、首羅天が護って国を安らかにしています。国王は代々受け継いで、いまだ絶えたことがなく、国中の人民はおおむねみな善を修め、諸国から来て集まり、ともに道法を遵び、もろもろの寺の堂はみな七宝の形像で、もろもろの妙なる供養の具は先王の法のとおりです。臣は自ら修め慎んで、道の禁を犯しません。臣の名は月愛、世を捨てた王の血筋です。
4使いの道が絶えぬように
:惟願大王聖體和善,羣臣百官,悉自安隱。今以此國羣臣吏民,山川珍寶,一切歸屬,五體歸誠大王足下。山海遐隔,無由朝覲,宗仰之至,遣使下承。使主父名天魔悉達,使主名尼陁達,此人由來良善忠信,是故今遣奉使表誠。大王若有所須,珍奇異物,悉當奉送,此之境土,便是王國,王之法令,治國善道,悉當承用。願二國信使往來不絕,此反使還,願賜一使,具宣聖命,備勑所宜。款至之誠,望不空反,所白如是,願加哀愍。
ひとえに願いますに、大王の御身は和やかに健やかで、群臣百官もことごとく自ずと安らかでありますように。いまこの国の群臣・官吏・民、山川の珍宝のいっさいを帰属させ、五体をもって大王の足もとに誠を帰します。山と海が遠く隔たって、朝廷に参る手だてがありませんが、仰ぎ尊ぶ思いの極まりに、使者を遣わして奉らせます。使主の父の名は天魔悉達、使主の名は尼陁達と申し、この人はもとより善良で忠信であるので、いま使いとして遣わし、誠を表します。大王にお要りのものがあれば、珍奇で稀な品をことごとく奉り送りましょう。この地はすなわち王の国であり、王の法令、国を治める善き道を、ことごとく受けて用いましょう。願わくは二国の使いの行き来が絶えぬようにしてくださり、今回の使いが帰るときには、一人の使いを賜って、聖なる命を具さに宣べ、よろしきところを具さにお示しくださいますように。至り尽くした誠ですので、空しく帰ることのないよう望みます。申し上げるところはこのとおりですので、あわれみを加えてくださいますように。」
5献じた宝物
奉獻金剛指環、摩勒金環諸寶物、赤白鸚鵡各一頭。太宗泰始二年,又遣使貢獻,以其使主竺扶大、竺阿彌並為建威將軍。
金剛の指輪、摩勒の金環などのもろもろの宝物と、赤白の鸚鵡を各一羽献じた。太宗の泰始二年、また使者を遣わして貢ぎ物を献じたので、その使主の竺扶大と竺阿弥をともに建威将軍とした。
6仏道に仕える国々
元嘉十八年,蘇摩黎國王那隣那羅跋摩遣使獻方物。世祖孝建二年,斤陁利國王釋婆羅那隣陁遣長史竺留陁及多獻金銀寶器。後廢帝元徽元年,婆黎國遣使貢獻。凡此諸國,皆事佛道。
元嘉十八年、蘇摩黎国王の那隣那羅跋摩が使者を遣わして方物を献じた。世祖の孝建二年、斤陁利国王の釈婆羅那隣陁が長史の竺留陁及多を遣わして金銀の宝器を献じた。後廃帝の元徽元年、婆黎国が使者を遣わして貢ぎ物を献じた。おおよそこれらの諸国は、みな仏道に仕えている。